「ピラティスとヨガって何が違うの?」
お客様や生徒さんからも本当によくいただく質問です。
実際のところ──
キャベツとレタス、ほうれん草と小松菜くらい違います!
見た目は似ているけれど、やってみると全然違うんです。
ネットに溢れる“定番の違い”
よく目にする比較はこんな感じ。
- 呼吸が違う → ヨガは腹式、ピラティスは胸式
- 歴史が違う → ヨガはインド、ピラティスはアメリカ
一見正しそうですが、実はちょっと誤解も含まれています。
呼吸の違い
ヨガは「腹式呼吸」と言われがちですが、実際は流派や目的によってさまざま。
- リラックスを深めるときは腹式
- 動きに集中するときは胸式
- そして伝統的に推奨されるのは、腹式と胸式を合わせた「完全呼吸」
つまり、ヨガ=腹式呼吸とは限りません。
一方で、ピラティスは胸式呼吸が基本。
これは、常に体幹(コア)を意識し続けるためです。
その結果──
- ヨガはリラックス効果が強く、副交感神経を優位にしてくれる
- ピラティスはトレーニング要素が強く、集中力や筋肉の活性化につながる
ただし、フローヨガやパワーヨガのように胸式呼吸を取り入れる流派もあるため、効果が似てくる場面もあります。
歴史の違い
ヨガは約4500年前、インド最古の聖典「ヴェーダ」に登場するほど長い歴史を持ちます。
哲学・瞑想・呼吸法を含んだ「生き方の体系」として人々の生活に根付いてきました。
一方で、ピラティスは20世紀初頭にドイツ人のジョセフ・ピラティス氏が考案。
第一次世界大戦中、イギリスの捕虜収容所に収監されたピラティス氏によって開発された負傷兵のリハビリや病院での運動療法が現代のピラティスの始まり。
歴史の長さは大きく違いますが、実は“広がり方”には共通点があります。
- ヨガは20世紀のアメリカでブームとなり、セレブやハリウッドスターが火付け役に。
- ピラティスも同じく、アメリカで普及。特にダンサーやセレブリティに愛され、トレーニングメソッドとして定着しました。
つまり、ヨガは「心と身体を調和させる道」、ピラティスは「身体を整え、強くするメソッド」。
でもどちらも“世界的ブームの立役者”はアメリカのセレブだったのです。
共通点と違いをまとめると…
共通点
ヨガとピラティスはアプローチこそ違いますが、どちらも「呼吸」を大切にし、心と身体を整えることを目的としています。どちらを選んでも、自分をよりよく保つための時間になることは共通しています。
- 呼吸を大切にする
- 心身を整える効果がある
違い
ヨガ
ヨガはリラックスや哲学的な要素を含み、「心のケア」にまで深く入り込めるのが特徴です。
- リラックスや哲学的要素を含む
- 陰ヨガやリストラティブヨガなど「リラックス特化型プログラム」がある
- サンカルパ瞑想やヨガニドラなど、メンタルの不調に働きかけるのが得意
- 動くスタイル(フローヨガ、ヴィンヤサなど)は流れるような動作が中心
- 体幹強化を目的にする場合は、指導者の解剖学的知識やスタイル選びが重要
体幹強化を目的とする場合は、指導者の解剖学的知識や指導力に差があるため、インストラクター選びが重要になります。
ピラティス
ピラティスは体幹強化や姿勢改善に特化していて、「身体の使い方を学ぶ」ことに直結します。
- 体幹強化・姿勢改善に特化
- インストラクターの質的にも「部分トレーニング」や「動きの修正」には即効性がある
- メンタルよりも身体にフォーカスしたクラスが多い(整う感覚はあるが、瞑想的要素は弱め)
- マシンピラティスとマットピラティスがあり、特にマットは強度が高く、途中で断念してしまう人も少なくない
こんな人におすすめ
- ヨガ
- 運動不足を解消したい
- 心身のリフレッシュをしたい
- 優しい空間で癒されたい
- 自己肯定感を高めたい
- ピラティス
- 身体の使い方を正しく学びたい
- スポーツやダンスなどパフォーマンスアップにつなげたい
- 引き締まった体をつくりたい
- ストイックにトレーニングしたい
まとめ
キキャベツとレタスが似ていても食感や栄養が違うように、ピラティスとヨガも似ているようで全く別物です。
- 身体を整えたい・姿勢を改善したい → ピラティス
- 心を落ち着けたい・リラックスしたい → ヨガ
ピラティスの良さは「解剖学に基づいた正確な動き」を通じて、自分の体をコントロールする力が養えること。
ただし、そこで大切になるのが“先生との相性”です。
ヨガの先生は哲学や瞑想を大切にされる方が多く、全体的に優しい雰囲気の先生が多い印象があります。
一方で、ピラティスの先生は解剖学的な知識や指導力に長けている分、哲学的な背景が欠けている場合もありました。
実際に私自身、出会った先生によってはメンタルが落ち込み、レッスンを受けること自体が辛くなってしまった経験もあります。
もちろん素晴らしい先生もたくさんいますが、「誰から学ぶか」は思っている以上に大きな影響を持つと実感しています。
だからこそ私は、ピラティスの解剖学的な強みと、ヨガの哲学や呼吸法を掛け合わせて──自分自身が救われてきたエッセンスをレッスンに込めています。
その両方を融合することで、身体の強さと心のしなやかさを同時に育てることができるのです。