ヨガとは、心の働きを鎮めるもの。そのためには瞑想を行い心のトレーニングをする必要がある。そのために8つの方法を示しています。ここでは二つ目に定められた日常で行うべきこと“ニヤマ”についてご紹介します。
ヨガの八支則(アシュタンガヨーガ)
ヨーガ・スートラ 2章28節
- ヤマ(日常で行なってはいけないこと)
- ニヤマ(日常ですすんで行うべきこと)
- アーサナ(坐法)
- プラーナヤーマ(呼吸法)
- プラティーヤハーラ(感覚を制御すること)
- ダーラナ(集中)
- ディヤーナ(瞑想)
- サマーディー(三昧)
ニヤマ(日常で勧んでおこなうべきこと)
ヨーガ・スートラ2章32節
- シャウチャ(清浄・清潔にする)
- サントーシャ(足るを知る・満足する)
- タパス(厳格・規律正しくする)
- スワディヤーヤ(自己を学ぶこと・聖典をよむこと)
- イーシュヴァラ・プラニダーナ(自然の摂理を受け入れること)
ヤマ・ニヤマの明確な違い
ヤマ・ニヤマは八支則の中でも最初に定められた日常のヨガ。しかし、二つは行為の対象において明確に違います。
ヤマ(行ってはならないこと)では行為の対象が、この世のあらゆる生物や物に対してなのに対し、ニヤマ(行うべきこと)は自分に対しての規律であることが明確です。
個人の行いに対する規律であり、それは肉体面においても精神面においても有効です。
シャウチャ(清浄・清潔にする)
肉体面
住む場所、衣服、身体や身の回りのものを常に綺麗に保つこと。
また、食べ物など身体に取り入れるものについても添加物や嗜好品(砂糖・タバコ・アルコールなど)に偏らず栄養価の高いシンプルなものを取り入れるという考えもあります。
精神面
心や頭の中をスッキリとした状態で保つこと。肉体面でのシャウチャがなければ内面でのシャウチャにはならないそうです。
サントーシャ(足るを知る・満足する)
肉体面
「置かれた場所に咲く」と言いますが周りの関係など、与えられた環境を受け入れることを言います。
精神面
サントーシャは精神面での要素が強く、たとえどのような状況であっても与えられた環境から学びを得るマインドのことを言います。
また、必要以上にものを欲したりすることなく、マインドを落ち着かせることが幸福につながると言われています。
※ヤマの<アパリッグラハ>と考え方としては近く、<アパリッグラハ(欲に溺れない)>は外に向いた規律であり、<サントーシャ>では内に向いた規律だと考えるといいでしょう。
タパス(厳格・規律正しくする)
肉体・行動面
規律正しい生活をする、言葉の選び方なども気を使う、など。
精神面
「有言実行」言葉にしたことや、心で決めたことを自分自身で守ること。
宗教によっては毎日のお祈りがありますが、その毎日のお祈りを繰り返すことが精神の修行になります。
スワディヤーヤ(自己を学ぶこと・聖典をよむこと)
肉体・行動面
瞑想やなすべきことを行いうこと。知識をつけるために学ぶこと。
精神面
学んだことや瞑想を行うで自己への探究を続けること。
イーシュヴァラ・プラニダーナ(自然の摂理を受け入れること・調和)
肉体面
先天的な自信の性質を受け入れる。そしてエゴを押し通しても自然の摂理には敵わないということを知ります。自然の摂理に逆らうのではなく、委ねてみることで思ったよりもうまくいくことがある。そうすることで心の平穏につながります。
精神面
「結果をありのままに受け取る」マインド。心が乱れるのは行動と結果をイコールとして期待してしまうから。しかし、現実社会はそうではありません。行動と結果を分けて考え、結果をありのままに受け入れるマインドを持つことで
自然の摂理を受け入れることで深い瞑想状態に入ることができると言われています。
ヤマ・ニヤマとカルマ
カルマというと仏教の「業」を浮かべてしまいますよね。しかし、ヨガのカルマは怖いものではありません。善い行いには善いことが・悪い行いには悪いことが因果応報として自分に返ってくるという考えのものです。
ヨガでも仏教と同じように輪廻転生の考え方を持ち、現世での先天的なものは前世から引き継いだカルマだと考えられています。ヤマ・ニヤマの行いとは魂の修行の一部。毎日ヨガスタジオに通えなくても日常でできるヨガを実践することで、心に振り回されたい日々をおくりましょう。