ヨガにおける座位の前屈ポーズ=パスチモッターナーサナは“背中を伸ばすポーズ”と訳されます。
パスチ(パシュチ)=背後・後ろ・西 + ウッターナ=強い伸長 = “背中を強く伸ばす”
背中というと、上半身のイメージが強くなってしまいますが、体の背面全体をイメージするのがいいかもしれません。上半身だけではなく、ハムストリングやふくらはぎ、お尻周りなどどこが強く伸びるように感じるかは人それぞれですし、やり方によっては上半身を伸ばすことも、下半身を伸ばすこともできるポーズです。
ポーズの効果
両脚を揃えて座り、前屈をすることで身体の背面全体のストレッチになります。ダウンドッグに比べてより深く背面にストレッチをかけることができます。
また、呼吸を吐きやすくなるポーズでもあるため、リラックスポーズ、気持ちを休めるポーズの一つでもあります。しかし、身体の硬い人にとっては苦しいポーズでもあるので、リラックス効果を感じられるようになるためにはある程度の柔軟性と練習が必要です。
主に伸びる筋肉
脊柱起立筋群
背中を丸めることで、背骨を支える脊柱起立筋群にストレッチが加わります。
多くの場合、胸周りが強く丸くなってしまうので、腰を丸くするような感覚を持つのがおすすめです!(そのためにお腹を引き込むように腹筋を動員します。)
ハムストリングス
もも裏の筋肉は坐骨から脛の骨まで通っています。
もも裏が硬い人にとっては長座で座ることすら難しいと言えます。
まずは股関節を90度にして座るダンダーサナのポーズを練習してみましょう。
大臀筋 (お尻まわり)
お尻周りもストレッチが加わります。前屈のポーズではお尻が緊張しやすいので、意識的に力を抜くことで、ポーズ自体が深まります。坐骨で座り、お尻の余分な力は抜くように心がけてみてください。
腓腹筋 (ふくらはぎ)
足首を強くフレックスの状態(背屈)するとふくらはぎのストレッチが高まります。
ポーズのポイント!
力を抜いてグラウンディング
重力の力を借りて上半身を深く倒していくことがポイントになります。そのためにはとにかく力を抜くことを意識しましょう。
お腹と前ももを近づける
もも裏やお尻周りの筋肉が硬い人にとっては前に倒していくのがとても辛いポーズとなります。
そういう方は多くの場合、骨盤が後ろに倒れていて背中の上部だけが丸くなっています。
お尻の下にブランケットを敷くなどしてお尻に高さを作るか、膝を曲げることで苦しさを和らげることができます。
脚は平行に保つ
このポーズではつま先と膝が天井方向に向いていて、脚は開きません。しかし、筋肉のバランスによって両脚が外旋したり、開いてしまうことがあります。そのような場合には、両脚を内旋して内股を寄せ合うようにする(内転筋を働かせる)とストレッチが深まります。
もも裏が硬くて辛い人の3つのポイント
男性によく見られる現象ですが、もも裏が固い人は骨盤が後ろに倒れてしまいがち。
股関節の裏側が伸びずに首の後ろと背中の上部だけが伸びてしまうと猫背を悪化させる原因にもなります。下記の3点を意識してみましょう。
- 膝を曲げる
- 胸を起こす
- 骨盤を前に傾ける(坐骨の前側に乗る)
ポーズキープの時間
座位での前屈姿勢では筋力増強よりも力を抜くことでポーズが深まるので、長くキープすることができます。
柔軟性の向上を目的にしている場合は1分から、3分、5分、10分とキープできる時間を長くしていくといいでしょう。
ポーズキープは瞑想の一つです。できる限り呼吸に意識を向け、長い時間をかけて吸い、全てを吐き出し切るまでゆっくりと息を吐きます。
吐く息と同時に余分な力を手放し、それを繰り返します。
慣れてくると10分もあっという間に感じられます。
まとめ
前屈でぺったりするのは憧れのポーズの一つですよね!
パワーで無理やり前屈するのではなく、ゆっくり力を抜くことを意識して練習をすることで、少しずつ柔軟性を高めましょう!
前屈ポーズは心を休める要素もあるので夜、寝る前に行うのもおすすめです。
ぜひ、1日の終わりにチャレンジしてみてくださいね!